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ホーム >> 【個人のお客様への調査内容】 紛争事例
※「千葉県宅地建物取引業協会 研修会テキスト」 から抜粋したものです。
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敷地の大部分に都市計画道路が計画決定されていた |
敷地の大部分に都市計画道路が計画決定されていたために、計画していた3階建マンションが建てられず、売買契約が合意解除となったケース
紛争内容
- 買主Aは退職後の老後対策として、賃貸マンションの経営を行う計画をたてていた。
- そこで、売主業者Bの社有地が、立地的にも価格的にも適当であったので、買主AはBと売買契約を締結することになった。
- その際、買主Aは、売主業者Bに対して3階建のマンションを建てる意図を伝えてあった。Bからは、当該地の極く一部しか都市計画道路の敷地として計画決定されておらず、その事業決定の時期は未定であるとの説明を受けていた。
- 土地の引渡しが完了したので、早速、建築設計事務所に3階建マンションの設計を依頼したところ、当該地の大部分に都市計画道路が計画決定されており、3階建は許可がおりないので建築できないという返事であった。
- そこで、買主Aが売主業者Bに今更3階建が建たないとは何事かと苦情を申したてたところ、Bは、当該地の一部に都市計画道路が計画決定されていることは、重要事項として説明しており、業者としての責務は果たしているとして、対応を拒絶した。
- 買主Aは、購入の目的が達成できないとして、契約の解除を売主業者Bに要求した。
【売主業者の言い分】
都市計画図によれば当該地の一部に都市計画道路が計画決定されていたので、重要事項説明書に次のように記載し買主Aに説明した。したがって、売主業者として業法にもとづく重要事項説明義務を果たしている。
【買主Aの言い分】
売主業者Bには、当該地の購入目的と計画を告げていた。
Bの重要事項説明では、都市計画道路は、当該地に極く一部しか計画決定されていないから心配ないとのことであった。
専門家としての説明でもあり計画の3階建マンションの建築は可能であると信じて購入した。
まさか、当該地の大部分(全体の敷地面積の約80%)に都市計画道路が計画決定されているとは思わなかった。
このことを知っていれば、契約しなかったのであるから、売主は契約の解除に応じてもらいたい。
【本事案の問題点】
- 主業者Bは、買主Aの意向を開いておきながら、都市計画をよく調査せず誤た説明をした。
- 上記(1)のため、売主業者Bは重要事項説明に際し、書面に正確な記載をせず図面の添付すらしなかった。
【本事案の結末】
買主Aが売主業者Bと再交渉した結果、Bは売主としての債務不履行責任を認め、契約目的を達成できなかったということで、Aと契約解除することで合意した。
本事案に学ぶ
- 業者は、売買物件に係る都市計画について正確に調査しておかねばならない
本事案で、買主Aが3階建マンションを建てる意図があることを伝えていたにもかかわらず、売主業者Bは、道路に関する都市計画をよく調査していなかった。
売主業者は、売買物件についてあらかじめ正確に調査しておかねばならない。
■都市計画の調査上のポイント
- 役所の窓口で詳細に確認する
都市計画図は縮尺図となっており詳細に読み取れない場合があるので、そのときは、実測図等を持参し物件の所在する市区町村の都市計画課等で詳細に調査する必要がある。
- 計画道路の範囲、計画決定時期等を確認する
担当部署に下記の確認を求めることが大事である。
・計画道路の範囲の確認(実測図または住宅地図を持参)
・計画決定または事業決定の時期はいつなのか(時期により、建築制限が異なるため)
- 調査上の留意点
・都市計画図により調査するとき:施行年月日、方位、縮尺、凡例、作成年月日
なお、地域によっては、法律のほかに条例により制限されている場合もあるので注意すること。
- 書面への記載は、正確な調査結果にもとづいて行う
重要事項説明書は紛争を防止するために、正確な調査結果にもとづいて記載および説明を行うことが必要である。
- 不十分な調査では、民事上のペナルティがありうる
売主業者は、物件を購入する際、都市計画道路等がかかっているときは、当然その範囲について十分な調査を行わなければならない。
本事案は、その調査が不十分だったためにおきた紛争であり、このような場合、不法行為に基づく民法上の損害賠償責任を問われても致し方がなかったと言える。
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