土木設計 宅地開発設計 道路位置指定 区画割図 擁壁 不動産調査

土木設計 宅地開発設計 道路位置指定 不動産調査
クイック調査・設計
区画割図の作成
工事概算見積書の作成
現地調査
行政での調査(ライフライン等)
法務局調査

土木設計業務 道路位置指定
宅地開発設計
土木設計 実績
道路位置指定・擁壁の設計

個人のお客様へ
不動産調査
現地調査
登記の調査
法令上の制限に関する調査
生活関連施設調査
紛争事例

不動産取引の知識
購入計画
事前調査
物件調査
契約時の確認
契約の解消
媒介(仲介)・代理依頼

会社案内 atplain(有限会社アットプレイン)
会社概要、挨拶
料金表
よくある質問
お見積・お問い合せフォーム
リンク集
プライバシーポリシー

不動産j購入前の事前確認

ホーム >> 【個人のお客様への調査内容】 紛争事例


※「千葉県宅地建物取引業協会 研修会テキスト」 から抜粋したものです。
不動産j購入前の事前確認、紛争事例
崖地を含む宅地に関する条例上の制限調査を怠った

媒介業者が崖を含む宅地についての条例上の建築制限に関する調査を怠り、売買契約が解除された場合の報酬請求権が認められなかったケース


 紛争内容
  1. 当該地はA社所有の崖を含む宅地であった。
  2. 媒介業者Bは、建築についての一般的な制限事項の他に特段の制限はないものと即断し、買主Cに当該地を紹介し、どのような建物でも建築できるとの説明をしたので、Cはこれを信じて売買契約を締結した。
  3. その際、媒介業者Bは、重要事項説明書に建築基準法による一般的な制限事項は記載し説明したが、その他の建築についての制限があることを示す説明はしなかった。
  4. 契約後、買主Cは念のため工務店に当該地の調査を依頼した結果、道路側の既存の擁壁に亀裂があることが判明し、現状では、条例上@既存の擁壁を修復するか、A後方の山側へ大幅に後退して建築するかのいずれかの方法でなければ建物が建たず、また、いずれの場合でも不測の損害が発生することが分かった。
  5. 買主Cは、上記欠陥について、媒介業者Bに善処を求めた。 Bは、物件および法令上の制限に関する調査等、媒介業務の手落ちを認めたが、なんら問題の解決を図ろうとせず、Cとの接触を絶った。
  6. 買主Cは、売主業者Aに対し、購入目的が達せられないことを理由に本件契約の解除および手付金の返還を申し入れたが、Aは、なんら責任がないとして、いったんはこの申入れを拒絶した。
  7. その後、買主Cは工務店と対策を協議した結果、第3の方法として、後方の山を削り取り基礎兼用の新擁壁を作れば費用も安く建築できることが判明した。そこでCは、媒介業者Bを介さず売主業者Aと交渉を重ねた結果、Aが新擁壁の設置費用の一部を負担することで合意し、旧契約を解除のうえ新たな売買契約を締結した。(実際には、負担分だけ売買代金を減額する方法が取られた。)
  8. このことを知った媒介業者Bは、当初約定した媒介報酬について売主業者A、買主Cに請求したしかし、両者は、媒介報酬請求権は発生していないとして、その請求に応じなかったため、紛争となった。


【買主Cの言い分】

媒介業者Bに現地案内されたときに当方の希望するどのような建物でも建築することができるとの説明を受けた。そのうえ、この物件は掘り出し物件であるので早急に契約するよう執拗に勧められたので売買契約を蹄結した。
ところが、契約後、当該地は重大な欠陥のある土地であることが分ったので、Bに対して善処してほしいと告げたところ、Bは調査不十分は認めたが問題を解決しようとせず、接触を絶った。
そこで、売主業者Aに事実を告げたところ、Aは契約の解除については、なんらの責任がないということで解除を拒否された。
その後、工務店と相談した結果、後方の山を削り取り基礎兼用の新擁壁を作れば費用が安く建築でき、条例上の建築制限も問題ないことが判明したので、再度Aと交渉した結果、Aが新擁壁の費用の一部を負担(実際には売買代金を減額。)することで合意した。
本件の媒介報酬についてBが請求してきたが、当方としてはBに媒介業者としての注意義務違反があったので、報酬を支払うつもりはない。


【売主業者Aの言い分】

買主の言うとおりである。


【媒介業者Bの言い分】

当該地は売主業者Aの自社物件であり、更に当該地の状況から判断して建築基準法の一般的な建築制限事項を調査しただけで、建築については他に特段の制限はないものと考えて、それ以上の調査はしなかった。
契約後、買主Cからの申し出により欠陥のある土地であることを知り、調査した結果Cの申し出のとおり欠陥があることが判明したが、Cは当該地に建築できることになったうえ、再度AおよびCは、売買契約を締結するに至ったではないか。
しかも、費用の一部はAが負担するわけであるから、当方としては、AおよびCに対して媒介報酬請求権があると考える。


【本事案の問題点】

  1. 媒介業者Bが、現況が崖を含む宅地であるにもかかわらず、条例上の建築制限に関する調査を怠った。
  2. 媒介業者Bは、業者としての注意義務違反があり、本来なら媒介報酬を請求できないにもかかわらず、請求した。


【本事案の結末】

当該地の重大な欠陥に気づかないまま当事者問で売買契約が締結されたが、当該地の欠陥が理由でいったん契約が解除されたのは、媒介業者Bの媒介行為に業者として調査すべき義務を履行しなかった重大な暇庇があったためであるとし、売主業者Aおよび買主Cに対するBの報酬請求権は発生しないとの判決がおりた。


本事案に学ぶ

  1. 条例の調査が不可欠である
    本事案は崖を含む宅地でもあり、建築制限については細心の注意を払って、調査すべきであり、現地の調査、建築基準法の確認等を行うだけでなく、条例上の建築制限に関する調査が不可欠である。
    ■崖を含む宅地等の調査上のポイント
    ・宅造規制区域内外の確認
    ・擁壁が適法かどうか。擁壁の亀裂の有無等の確認
    ・法規制の調査および市区町村等への確認。
    なお、不明な点や問題点が生じた場合は、設計事務所等の専門家による調査および検討も必要となる。
  2. 媒介業者の責任で契約解除された場合、報酬請求権は発生しない
    ●媒介業者の責任で契約解除された場合、報酬請求権は発生しない
    媒介報酬請求権は、いったん媒介行為により売買契約が締結されたならば、契約解除(債務不履行にもとづく解除、合意解除、手付解除等)に至っても何ら影響は受けない。
    しかし、本事案は業者Bが媒介業者として尽くすべき義務を履行しなかったことにより、売主業者と買主においてこの土地の重大な欠陥に気がつかず売買契約が締結され、その後、この土地の欠陥を理由に売買契約が解除されたものであり、このようなケースでは、媒介報酬請求権は発生しない。
    ●媒介業者Bは損害賠償の請求の訴えを起こされてもやむを得ない
    本事案の場合、媒介業者は、報酬の請求をできないことはもちろん、逆に媒介業務の債務不履行にもとづく損害賠償の請求の訴えを起こされてもやむを得ないケースである。
    ●媒介業者は売買契約を締結するだけでなく、業務の終了まで責任を負う
    媒介業者Bは売買契約を済ませれば業務が終了したわけではなく、関連する諸手続きの管理から登記・引渡等契約完了まで責任をいるものと銘記すべきである。
    Bは、本事案のような問題が発生した場合、当事者に助言をしたり、積極的に解決策を講じる責任および義務がある。
  3. 当該物件の欠陥については、売主業者も責任を負う
    本事案については、当初、売主業者Aは、当該地について欠陥があることを知らず媒介業者の責任にしていたようだが、売主業者は、業者である以上、当該物件について調査し、その内容について媒介業者と共に買主に説明する義務がある。 売主も業者である以上、媒介業者の調査した説明内容をチェックし、自らも責任を負うことは当然である。

COPYRIGHT(C)2008 宅地開発設計 有限会社アットプレイン ALL RIGHTS RESERVED.